susieの旅ブログ

埼玉在住都内に勤める40代主婦の旅と本の記録。

今年読んだ中で一番衝撃的だった一冊

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塁犯障害者 山本譲司

刑務所だけが、安住の地だった―何度も服役を繰り返す老年の下関駅放火犯。家族のほとんどが障害者だった、浅草通り魔殺人の犯人。悪びれもせず売春を繰り返す知的障害女性たち。仲間内で犯罪組織を作るろうあ者たちのコミュニティ。彼らはなぜ罪を重ねるのか?障害者による事件を取材して見えてきた、刑務所や裁判所、そして福祉が抱える問題点を鋭く追究するルポルタージュ


小説レビューカテゴリを放置していたにも関わらず敢えてこの本については更新したいと思ったのは、多くの人々にこの本の存在を知ってもらいたいと思ったからであります。
もともと職場での休憩時間に皆でニュースを観ている時、残虐な事件について何もコメントが出来なかったわたし。一緒に食事をしている他の人たちが口々に「ひどいね」と言っている中、この事件の加害者がどんな気持ちだったのか、どちらかというと加害者側の背景が気になり、前々から犯罪心理というものに興味を持っていたので(学んだことはないですが)、なんとなくそういう場面に遭遇すると無口になっていました。この本を読んでから、ますますその傾向が強くなりそうです。かなり衝撃が強すぎました。心理がどうというより、犯罪者の脳が一般的な人間の脳と違うということなのだから。今年も驚くような事件が後を絶たなかったけれど、ついこの本の内容と照らし合わしてしまうような事件が多かったように思います。マスコミの世界にはタブーがあると言うことは誰もが知っている、けれど真実を知ろうと思う人がどれだけいるのでしょうか。もしかしたらそんなの当たり前のことだよって思っている人もいるかもしれないけれど、きっと知らない人もいる。知的障害や発達障害についてはだんだん世間でも知られてきているけど、ろうあ者の世界のことはわたしは本当になにも知らなかったです。知らないことの恐ろしさを思い知りました。
福祉財源の確保として今年4月から3%の増税となりましたが、塁犯障害者への福祉にどれだけのお金が回るのでしょうか。この本を読んだ限りではとても3%じゃ足りない気もしますが・・・。