susieの旅ブログ

埼玉在住都内に勤める40代主婦の旅と本の記録。

「うつの心理と性格 その深奥に眠る静かな力と日本文化」を読んで

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お久しぶりです。ブドウは皮まで食べるsusieでございます。
先日人生初の一人旅をしてきました。が、その前にとある本の紹介をせずには始まらないので、今回は最近読んだ一冊についてお話しようと思います。



内容紹介
今日ますます増加する職場のうつや適応障害。職場のみならず、うつの多くは不当な人間関係や家族関係に起因するが、ではどういった性格の人々がうつに陥りやすく、どういった人々が他人をうつにしてしまうのだろうか。また一方、外面がよく身内に厳しい日本人特有の傾向は、うつの増加を助長している。その背後に垣間見える日本文化とは。ひたすらカウンセリングに没頭してきたカウンセラーが、クライアントたちとの出会いを通じて得た気づきを紡ぎ、これらの疑問への答えを探求する。

これまで精神科に通うことなくぼかしぼかしやってきたわたしですが、正直万年鬱みたいなところがありました。20代の頃からうつ病関係の書籍や毒親系、はたまた発達障害を疑ったりしながらひたすら本を読み漁ってきましたが、今思えばしっくりきた本は多くなく、むしろ「真面目」だとか「気にしすぎ」と言ったワードに違和感すらありました。
そんな今までの違和感を一気に吹き飛ばしたのが、この本でした。
この本では、うつ病になりやすい性格を「真面目」とはせず「矛盾に敏感な人」と書かれています。もう・・おいおい泣きながら読みました。ずっと思ってきたのです。「気にするな」という人は「気がついていないだけ」だと。ついでに言うと、本当に真面目だったら電車遅延で出勤が遅れそうなのに、敢えてコンビニで本立ち読みして遅刻しようとかしない。周りの空気に敏感で、相手の心を比較的正確に読むことが出来、矛盾にいち早く気づくというのは一種の能力なのかもしれませんが、大半の人がその能力を持っていない世の中で生きていくのは相当困難なものなのです。だけどその大半の人たちに「あなたが鈍感なだけだ」なんて言えないのが意地悪できない「うつになりやすい人たち」の悩ましいところであり、孤独に陥る原因にもなるのだと思います。
この本を読んで、わたしのような人間が知るべきことは「世の中の大半の人たちは嘘つくことが出来、良心を無視することがある」ということでした。
わたしはあまり嘘を付きません。(くだらない嘘はつくこともありますけど)見栄や競争心が多分他人よりないです。そして良心的だと思います。これらは良い部分だと思って生きてきましたが、社会に出た時搾取される要素だということに気づきました。また、搾取された時に他人がどうしてそのような行動に出るのかが不可解で恐怖でした。それこそが肝に銘じないといけないところだったらしいです。

余談ですが、現在シリアから無事帰国したジャーナリスト安田氏の自己責任をめぐる大バッシングが蔓延っていますけど、ヤフコメを見るたび日本人って怖いなあと思わざるを得ません。自己責任とはなんなのでしょう。安田氏は自己責任でシリアへ行き拘束されたものの、日本政府に助けて欲しいとは微塵も思っていなかったはずです。映像やその後のメモから「言った」のか「言わされた」のかがわからない人たちがこんなにも多いのかと絶望したし、勝手で頓珍漢な解釈をした人ばかりでうんざりしました。結局日本政府は助けなかったのだからわたしたちには直接関係のないことであり、日本国民が恥だのなんだのいう資格もない。仮に日本政府が助けたとしても、それは日本政府の自由。日本人がこういう時バッシングするのは、普段から「自分がしたいことを我慢している」というのが根底にあるんじゃないかと思っているんですが、本来人間は「したいことしかしていない」はずなのです。それが自己責任というものなんじゃないかと思うのです。それに気づかない人たちが自分と他人の境界線を越え、たとえ矛盾であったとしてもルールがあるならルールに従えと言ったような理不尽極まりない意見をぶつける・・・矛盾に敏感なわたしはヤフコメ欄を見ただけで息苦しくなるのでした。

世間への怒りはともかく、うつに悩みクリニックへ通うも完治せず人間不信に陥っている人がいたら、是非この本を読んでもらいたいと切に願います。
著者もブログでおっしゃっていたのですが、実は対処法というのが書かれていません。中途半端に理解して逆に落ち込むこともあるかもしれませんが、間違いなく書いてあることは真実ですので、わたしはこの本一冊だけをうつ本としておすすめしたい。
広めることが一つの対処法だと思うからです。


ちなみに「孤独と不安のレッスン」には、無宗教な日本の神は「世間様」だとし、正義ではなく正しいのは「みんなのいうこと」だと書かれています。これは外国人から見たら非常に馬鹿げているらしい。確かに仲良くしている外国人に、たまに「みんなが言ってる」というと「誰?誰が言ってるの?」と必ず聞かれます。わたしですら時々説明するのが面倒な時に使う「みんなが言ってる」。しかしこの言葉はいかに便利で無責任か。


そう考えると、わたしの友人選びは「矛盾の有無」にある気がします。
優しい人を選んでいるつもりだったけど、それよりも自分をしっかり持っている人が多い気がする。自立しすぎて寂しいなんて思うこともないでもないけど、わたしにはそんな人が信用できて良いのかもしれないなんて思う秋の夜更けなのでした。

最後に。「脳をだませば痩せられる」もかなり読み応えのある良書でした。